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FICTION池袋

不動産企画開発

東京都豊島区池袋 / 1ROOM

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レンタルスペースを作りたいという依頼を受けて事例調査をした感想は、「普通のスペースが多い」というものだった。カフェ、レストラン、しゃれたアパートの一室等々、日常の延長線上にある空間。しかし使う側にとっては、数少ない特別な(つまり日常から離れた)1回限りのイベントなのではないか?日常性がレンタルスペースのポテンシャルを限定的なものにしていないか?イベントをより特別な経験にする空間をつくれないだろうか?

 

いまは「リアル」が求められる世の中である。社会問題が山積し、常に現実的な対応が求められる中で、人々がリアル志向になることも避けられないことだ。しかし、その対極である「フィクション」のちからが失われたわけではない。例えばレンタルスペースで重要視される「インスタ映え」とは、自分をフィクショナルな形で発信することの代表である。リアルが息苦しいからこそ人はフィクションを、非日常を求める。それは日常に対して批評的な発想を生み出す足がかりでもある。レンタルスペースも世の中にフィクションを、非日常を提供する場になり得る。

 

フィクションとは、「狭い地下空間」という今回のネガティブな条件をポジティブなものに変換する、その戦略でもある。限定的な、現実から隔絶された空間では、リアルから距離を取ることができる。閉ざされているからこそ、あらゆることが可能だ。そんな閉じた空間の中にフィクションを作り出す空間・装置として、最も効力を発揮するのが舞台の空間である。舞台空間がフィクションを構成する重要なキーワードだ。

 

斜めに据えた大きな階段が、舞台空間に欠かせない客席となる。現実は縦・横・水平に満ちている。それを撹乱するために、斜めにする。リアルが真っ直ぐなら、フィクションは斜めというわけだ。大階段は食事や会議にとどまらない活動を生み出すだろう。舞台上に当たるのはテーブルが並ぶ場所。参加者は大階段に座って観客になると同時に、舞台上での登場人物にもなる。テーブルはフレキシブルに組み換え可能で、テーブルを全て片付けて、実際に舞台空間として使用することも、プレゼンテーションや映画の上映会を行うこともできる。

設計・施工・コンセプトデザイン:株式会社クーマ
プロデュース:株式会社スペースマーケット
撮影:宇田川俊之