クマ博士のゆかいなリノベ研究室
教えてクマ博士!リノベーションって何?
これまで何軒ものリノベを手がけ、研究してきたクマ博士。東京の片隅にある研究室には連日のように来客があり、リノベに関する「これってどうなの?」を愉快痛快にお話しているようです。 今日来ているのは、リノベーションで住まいづくりすることに興味があるタナカさんご夫婦。 今回は、リノベーションってリフォームと何が違うの?そもそもリノベーションって何?という疑問があるみたい。早速のぞいてみましょう。
目次
友達がこの前リノベーションしていて、とっても素敵なの!なんか豊かな暮らししているな〜って感じ
そうんなんだ〜リノベーションってリフォームとは違うの?
え?違うんじゃない?リノベーションのがかっこいいもん。
じゃあ、かっこいいリフォームがリノベーションってこと?
私に聞かないでよ!!!
ちょっと待った〜!リノベーションのためにケンカするなんてやめてください!私が、しっかりリノベーションとはなんなのか教えて差し上げましょう!
うわっ!
クマ博士だ!
では、早速リノベーションとリフォームの違いから見ていきましょう!
リノベーションとリフォームの違い
リノベーションとリフォームの違いはズバリッ!
マイナスからゼロに戻すのがリフォーム、マイナスからプラスにするのがリノベーションなのです!
マイナスからゼロに戻すのがリフォーム、マイナスからプラスにするのがリノベーションなのです!
よく分からないけど、かっこいい!
分かったような分からないような…
リフォームやリノベーションをする時ってどのような時ですか?
ウチの実家がリフォームしたけど、古くなったキッチンを新しくしたり、クロスを張り替えたりしたな〜
家が古くなったりして、何か不満がある時なのかな。
そう!建てられた新築の状態をゼロという基準にすると、それが古くなったり自分に合わなかったりして、自分が家に対して不満がある時、それがマイナスの状態です。それを新築の状態、つまりゼロの状態に戻すことがリフォームです。元の状態に戻す、いわゆる原状回復というやつですね。
原状回復って聞いたことある!賃貸で出ていく時にするやつ!
そうそう、原状回復義務ですね。あれは、借りたときの状態をゼロとして、自分でマイナスにしたらゼロに戻してくださいねという約束です。
なるほど。それは、リフォームということですね。じゃあ、それをプラスにするってどういうことだろう?
元の状態がゼロだから、もとの状態よりもかっこよくすること?
半分正解!では、また質問。狭いリビングに大きなキッチンを入れることってプラスだと思いますか?
私は料理が好きだから大きなキッチンが入っている方がプラスだな〜
え〜僕はリビングが広い方が良いな〜
そこがポイントです!奥様にとってはプラスだけど、旦那様にとってはマイナス。これって、人によってプラスに感じる部分が異なるということなのです。プラスにするってことは、住む人に合わせた住まいをつくるということなのです!
なるほどな〜。住む人の暮らしに合わせた住まいか〜僕はキャンプ道具をおける大きな収納とか、絵を飾ってかっこいいモルタルの壁とかつくりたいな。
私は、料理が楽しくなるキッチンとか、植物がたくさん飾れる場所とか、洋服がバーってかけられるクローゼットもいいな〜
夫婦でのリノベーションはお互いのこともよく知れるチャンスです。よく話し合って、家族全員にとってプラスになるような住まいにづくりを目指しましょう!
おおお〜(楽しそう!)
リノベーションの歴史
これがリノベーション業界で起きているざっくりとした流れを私なりにまとめたものです。
へ〜!(高度経済成長って習ったな…)
高度経済成長とかバブルとかって、当時は子供だったからあんまり感覚が分からないけど、新築至上主義ってその当時の名残りなんですね。
その通り!社会的な流れとリノベーションは大きな結びつきがあるのです!まずは、その大きな流れを見ていきましょう。
フロー型→ストック型
大きな流れとしては、フローな社会から、ストックする社会に変わってきたことが注目です。
フロー?ストック?
建物を次から次へと壊しては作り、資金をたくさん回そうとする考え方が主流になっていたのがフローする社会、逆に壊さないで長く使いましょうという考え方がストック社会です。
そもそもどうしてフロー社会になっていたのですか?
高度経済成長とバブルの好景気の中で、土地や建物が投機の対象となり、少しでも古くなったら作り直すということが繰り返されたからです。取り壊された住宅の平均築年数を欧米と比較すると、日本27年・米国67年・英国81年と、日本の住宅の短命さがわかります。新築を建てて売る産業からみれば都合がよいのですが、消費者にとって理不尽な市場が成り立っていたのです。
それが、不景気になって変わったんですか?
そうです。バブルが崩壊して、土地を持っていれば勝手に値上がりするという土地神話も崩れ、景気も悪くなったので、つくって壊すことに魅力を感じる人は少なくなったのですね。
なるほど〜実際、建物の寿命ってどれくらいなんですか?中古マンションを買うのってそこも心配です。
確かに、そうですよね。国土交通省の報告書「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書(平成25年)によれば、「RC造建築の寿命は117年」「マンションの寿命は120年で、メンテンナンスにより150年まで延命できる」といった研究結果が出ているのです。
え!そんなに長いんですか!?
そうなんです。そして、このストック型になったことで、これから中古物件の流通がさらに拡大してくると言われています。
ヘー!だから、リノベーションをする人が増えているんですか?
するどい!では、それも含め次はリノベーションが人気な理由を教えましょう!
リノベーションが人気の理由
一つは、空き家が増えているからです。先ほど言ったように中古物件が増えてきていることや、少子高齢化によって使う人も減ってきています。空き家対策のために、政策としてもローンが組みやすいようにしたり、給付金を出したりと動いています。
なるほど〜。政府としても空き家が出ないようにリノベーションして使って欲しいんですね。
もう一つは、住まいへかけるお金の減少です。1つの会社に勤めて、右肩上がりの安定的な年収をもらえる時代は終わりました。年収も減少傾向にある中で、都心の新築マンションの平均価格は約7600万円。これが金銭的な面で中古物件+リノベーションが人気の理由です。
確かに。うちも新築はちょっと厳しいな。。。
お金的にもそうだけど、あんまり新築に魅力も感じないしね。
そう、それも大きな理由です。住まいへの価値観の変化ですね。住まいで仕事をしたり、趣味を楽しんだり、移住や2拠点生活なども考えて流動的な資産にしたりする人が増えています。これって、住まいへの価値観が『単なる住む場所』や『ステータス』みたいなものから『自分の人生を豊かにするもの』に変わってきているように感じます。
確かに。昔は、庭付き戸建てが理想的なマイホームみたいな感じがあったけど、自分達にはそんなにしっくり来ないというか。
そうね。「みんながこうだから」みたいなおすすめされても、そんなにときめかないしね。
私もそれを強く感じています。大量生産をが主流の時代とは違って、「ひとりひとりに合うもの」がより重視されていますよね
質問!!
はい!なんでしょう?
これからの暮らしってどんな風に変わって来るんですかね?
確かに、価値観はまたさらに変わっていきそうね。
これは難しい質問ですね〜将来のことは分からないの前提で私なりに考えていることを聞いてください。
今後の住まいはどうなるの?
(ワクワク)
一つは、物件価値の判断基準は変わってきそうだなと感じています。
物件価値の判断基準?築年数とか最寄駅とか、間取りとか?
そう。というのも、技術の進化で物理的な課題がどんどん解決されています。特に、コロナの影響で在宅ワークが増え、週1日だけ都心に出勤という方も多いです。であれば、都心のガヤガヤしているところで暮らすよりも、近所に自然や好きなお店があって、散歩していて楽しいところの方が住んでいて楽しいという方は少なくないでしょう。
僕も最近は電車に乗ることも少なくなりました。
その代わりに散歩することは増えたよね。
アメリカで有名な不動産売買プラットフォームのZilowでは、『walk score』という近隣施設へのアクセスの良さを点数化したものが不動産ページに出てきたり、マッキンゼー・アンド・カンパニーが2018年に発表したレポートでは、「周囲に雰囲気のいい飲食店があるかどうかが不動産価値の推測に有効であること」が示されていたり、物件だけではなくて街を見るという視点は強くなってきてるのを感じます!
確かに。最近は近所にお散歩することも多くて、おしゃれなカフェとかあったら嬉しいな〜ってすごく思います!
そうか。今までは感覚的だった部分も、テクノロジーのおかげで数値化できるんですね。
そうなんです!テクノロジーは交通手段の面でも進化していきます。今は首都圏だと電車がメインとして使う方が多いですが、無人タクシーや時速1000kmのハイパーループのような別の交通手段が台頭してくるでしょう。
ハイパーループ!?
確かに、電車ではない別の交通手段があったら物件の選び方は全然変わってきそう。。!
もう一つは、先ほどフローからストックに、という話をしましたよね?
はい。長く大切に使うということですよね?
そうです!ストック型に近いフランスなどでは、家を買うと次の世代に受け継ぎます。そうすると次の世代は家を買う必要がないので、車を買います。そうすると次の世代の人は船を買います。
そうやって、世代を超えることに豊かになっていくんですね。長くものを使うと次世代の消費も少なくなる、消費が少ないということはエネルギーも使わなくなり、環境にも優しくなる。持続可能な社会をつくることに繋がるのです。
そうやって、世代を超えることに豊かになっていくんですね。長くものを使うと次世代の消費も少なくなる、消費が少ないということはエネルギーも使わなくなり、環境にも優しくなる。持続可能な社会をつくることに繋がるのです。
この流れはどんどん大きくなっていくと思います。多くのものを世代を超えて受け継いでいく。そして、自分たちの暮らしに合わせてカスタマイズしていくという行為も増えていくと思います。
なるほど〜。確かに私たちが買った家を子供たちが大きくなってから、リノベーションして使ってもらうのっていいな〜
物件費用はいらないから、その分を孫の教育費にしたりできるってことか〜
なんか、とても素敵だね!
そうだね。自分たちに合わせてカスタマイズか〜。
では、最後にリノベーションをしている人の特徴について考えながら、その人たちがどんな風にカスタマイズしているのか見ていきましょう
リノベーションをしている人の特徴
さっきも言ったように、リノベーションが人気な理由は自分に合わせてカスタマイズできるからです。言い換えると選択肢が豊富ということです。
確かに、物件も内装も、お金も選べることが多いよね。
そうなんです。私が思うに、「選択肢が多い=自分に最適な住まいづくりを目指せる」だと思っています。確かに、新築と違って、物件を買ったらすぐに住めますではないので、手間はかかります。その手間をかけたいと言う方がリノベーションをしている人の特徴だと思います。
おお〜
確かにね。ただ、ちょっとハードルが高い気もする。
手間がかかるからこそ、自分を良く知ってもらって、自分に合う暮らしづくりができるリノベーション会社選びが大切と言われています。
なるほど〜確かに自分のことを話すだけで、提案してくれるならできそう。
それにしても、最適な住まいづくりって上で出てきたカスタマイズのことですよね?
その通り! カスタマイズは、大きく分けると①住まいの中②住まいの外③将来の3つに分けられるんじゃないかなと考えています。
住まいの中は、自分の生活スタイルに合わせて間取りや内装をつくれるっていうことだよね?リノベーションといえばこれのイメージ。
そうです!住む人の個性を重視した暮らしがつくれます。それと、建物の個性も活かせるというのがリノベーションの面白いところです。服で例えるとヴィンテージ古着みたいなことですね。
古着!確かに、一期一会なモノって素敵ですよね。
ちなみにこの服も古着です。
….。
…住まいの外にこだわると言うのは周りの街なども含め立地にこだわれるってことですね!?
すごい!さすがです!
やった〜!
中古物件の方が選択肢が多いってこの前教えてくれましたね!
教えてクマ博士!リノベーションって何?
素晴らしい!!じゃあ、将来についてもわかりますね?
将来についてなんてやりましたっけ…?
もしかして、資産価値が減りづらいってことですか?
正解!!感激です!!中古物件は資産価値が減りづらい、しかも新築と比べて安いので、流動的な資産にしやすいのです!
流動的資産?
割とローコストで運用しやすい資産ですね。最近、東京で3年ぐらい住むから中古物件を買ってリノベーションして住む方も多いです。
え!?3年しか住まないのに家を買うの?!
そうなんです。「東京から離れることがあれば、売るか貸すかすればいいや」そういう考え方の人が増えています。
なるほど〜資産価値が減らないから3年後も同じ価格で売れちゃうんですね。リノベーションした分、高く売れちゃうかも!?
確かに、買った時よりも高く売れた方もいますね。その方は、売ることも意識してどんな人に住んでもらうかを考えてリノベーションをしましたね。
すごい!!儲けるは無理でも、買った金額と同じで売れれば、自分の好きな空間にタダで住めるってこと!?
おお〜!!
特にご家族で住む場合には東京の家賃は高いので家賃と同じぐらいの金額のローン支払いで買う方が多いです。しかも、とても流動的なので、転勤するかも、海外で暮らしたい、2拠点生活したい、など様々なライフスタイルにフィットするのです!
すご〜い!!
俺も海外で3年くらい暮らしたいと思ってたんだよね。
ええ!?!?!?
実は、フランスに住むのに憧れてて。
今言う話!?でも、めちゃくちゃいいじゃん!私もワイナリー巡りしたい〜
いいですね〜!また帰ってくる場合には、誰かに貸せば良さそうですね!
帰ってくる家があるのってめちゃくちゃいいな〜
夢が広がるね!ありがとうクマ博士!
またいつでも来てください。
(ここ、僕たちの家なんだけどな…)
まとめ
リノベーションってなんなのかなんとなく分かっていただけましたか。
スクラップビルド、新築至上主義の名残で衣・食・住の住だけが自由化できていないと言われていますが、最近になってようやく徐々に自分にあった暮らし方を実現できている方が増えてきました。
自分の将来のことまで視野に入れて、自分が「どんな暮らしをしたいか」を考えてみる。
そうすることで、あなたにとって良い住まいが見えてくると思います。
そして、その住まいがあなたの人生をより豊かにしてくれると考えています。