「改築」とは?「新築」「増築」「改修」との違いまで徹底解説!
住まいの形を変えたいと考えた時に、リノベーションやリフォームと並んで「改築」「増築」「改修」などの似たような言葉を耳にしたことがある方も多いと思います。 聞いたことはあるものの、「改築って具体的にどういうこと?」「改修やリノベーションとはどこが違うの?」という方も多いのではないでしょうか。 実は「改築」の建築基準法上での定義と、一般的に使われている意味とでは違いがあります。この記事では、改築の定義や意味、改築する場合の費用、事例、流れなどを解説していきます。 工務店や工事会社とのやり取りで改築という言葉が出てきたら、どちらの意味なのかを確認しないと誤解が生まれてしまう恐れがありますので、ぜひしっかりと確認してみてくださいね。
目次
・改築とは(建築基準法による定義)
一般的には、「間取りを変えること」や「二世帯住宅に建替えること」など、改修や改造と同じような意味で「改築」という言葉が使われることがあります。
ふだん使う言葉としては意味がはっきりしていなくても構いませんが、実際にお住まいを変えたいと思った時には「どこまでが改築といえるのか」「改築でどんなことができるのか」が気になりますね。
そして、建築基準法における「改築」とは次のように定義されています。
《改築》
建築物の全部又は一部を除却した場合、又は災害等により失った場合に、これらの建築物又は建築物の部分を、従前と同様の用途・構造・規模のものに建て替えること。
「今まであった建物を取り壊して、新しい建物を建てる」ということは、一般的にイメージする建替えのことかと思うかもしれません。 しかし、「位置・用途・構造・階数・規模がほぼ同程度」の部分がポイントです。
今まであった建物を壊して、間取りも、使い道も、大きさもほぼ同じ建物を建てるのが「改築」ということになります。
つまり、改築とは、床面積や階数、高さなどの建物の規模や、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造などの構造をほぼ変えずに、建物を建て替えたり間取りを変更したりすることを意味します。それだけでなく、住宅や事務所など何に使うための建物かという、用途も同じであることが必要となります。
もともと建てられていた建物の一部、もしくはすべてをつくり直すことですが、「壁を撤去して部屋を広くするなどの間取りの変更」から「建物の全体的なリノベーション」「二世帯住宅にすること」などさまざまな例があります。
また、内容によっては、届け出が必要な場合があります。目安としては、壁や床、柱、梁、屋根、階段の改修など、工事が大規模になる場合です。届け出が必要かどうかは、行政や専門家などに相談してみましょう。
・新築、増築、改修との違い
改築の定義がわかったところで、よく聞く「新築」「増築」「改修」との違いをみていきましょう。
新築と改築の違い
「新築とは、新しく家を建てること」をさします。
一方、改築とは、建物のすべてまたは一部を壊して新しく建物を建てたり、間取りの変更を行ったり、建物の構造部に手を加える工事のことを指します。
増築や減築と異なり、床面積の変更はありません。
新築と改築の違いとしては、 もともとの土地に建物があったかどうかの違いがあります。改築がもともと建てられていた建物の一部や全部をつくり直すのに対し、新築は建物がなかった土地に新たに建物をつくります。そこに最初から建物があったかどうかで、手続きは異なります。
ただ、もともとあった建物をつくり直す場合でも、建物の用途、床面積や階数などの規模、構造が一つでも異なる場合は、新築に分類されます。
増築と改築の違い
「増築とは、建物を壊さずに階数を増やしたり、敷地内に新たな建物を建てたりすること」をさします。
増築と改築の違いは、床面積が増えるかどうかの違いです。住宅の面積を広くしたり、階数を増やしたりといった建て増しは、増築にあたります。すでにお話してきたように、改築では床面積や階数などは増減させずに、建物のすべてまたは一部を壊して新しくすることをいいます。
改修と改築の違い
「改修とは、建物全体を壊すことはせず、一部を撤去したり新設すること」をさします。
改修と改築の違いは、もともとの建物を壊すかどうかの違いです。改修は「リフォーム」と同義で使用される場合もありますが、改修の場合は、修理する際にもともとあった建物を壊しません。たとえば、部屋の壁紙を貼り替えたり、キッチン設備を新しいものに交換したりといった例が挙げられます。
一般的にはリフォームより規模が大きく、たとえば「マンション全体の改修工事」のような範囲の広い工事を改修工事と呼ぶことが多いです。
それに対して、改築は、床面積は増えませんが、建物を一度取り壊してつくりなおすような工事を指します。
・改築、新築、増築、改修のメリット、デメリット
次に、改築、新築、増築、改修のそれぞれのメリットとデメリットをみていきましょう。
改築 | 新築 | 増築 | 改修 | |
新しい建物の状態 | 前とほぼ同じ | 前と大きく異なる | 床面積を増やす | 一部が変わる |
既存建物を壊すか | 壊す | 壊す | 増築方法による※ | 壊さない |
メリット | ・建て替えよりもコストがかからない ・ピンポイントで課題を解決できる | 新しく自由に作ることができる | ・建て替えよりもコストがかからない ・居住しながら行うことができる | ・建て替えよりもコストがかからない |
デメリット | 床面積や高さ、構造などは変えられない | コストや時間がかかる | 既存と増築部分での耐久性や一体感が異なる |
※既存部分を一部解体して増築部分と繋げる場合は「壊す」が、同じ敷地に離れを作る場合や既存部分を解体せずにエクスパンションジョイントで接合する場合は「壊さない」
費用
以下は、あくまでも場所別のリフォーム費用の目安です。
全面改築の場合には別途、壁や床などの解体・撤去費用がかかることもあります。
リフォーム内容 | 費用相場 |
間取り変更 | 約20~350万円 |
キッチン | 約50~150万 |
トイレ | 約20~50万円 |
浴室 | 約100~150万円 |
外壁 | 約50~350万円 |
屋根 | 約50~350万円 |
耐震 | 約25~150万円 |
断熱 | 約4千~3万円 |
改築の注意点
①法令遵守、登記、建築確認申請の有無
改築する際は、施工業者を通して「建築確認申請」を自治体に行う必要がある場合があります。「建築確認申請」は、建築基準法など法令に適合しているかどうかを審査するもので、確認申請を行うことも建築基準法で定められています。
また、床面積の変更、屋根の種類が変わる、車庫や倉庫を新設した場合などには、「建物表題変更登記」が必要になります。こちらは工事完了後1か月以内に行う必要があります。
増改築のリフォームは、建築基準法や地域の条例など、さまざまな法令制限を受けるので注意が必要です。特に床面積が10㎡以上増える増改築を行う場合は、自治体もしくは、民間の建築確認検査機関への「建築確認申請書」の提出、行う予定の増改築が法律や条例に適していることの承認を得る必要があります。
それだけでなく、マンションの増改築の場合は、管理組合への届出義務や承認が必要となる場合もあります。これらは、よく確認する必要があります。
②耐震性の確認
ベースとなる建物の築年数が古い場合は、現行の耐震基準を満たしていない「既存不適格建築物」である可能性があります。増改築部分は、新たに工事する部分であるため、耐震基準を考える必要はありませんが、現存部分が基準を満たしていない状態のままにしておくと、建物全体の耐震バランスが統一されていないアンバランスな建物が出来上がってしまい「建物の耐震バランスが不統一だと、倒壊のリスクが高まる」とされています。耐震性を統一することはリフォームの鉄則といえます。増改築時には必ずリフォーム会社に耐震調査を依頼し、必要であれば既存部分の耐震補強を行うことをおすすめします。
③固定資産税について
改築工事により、建物の評価額が上がった場合には固定資産税が上がることがあります。
工事完了後、自治体による調査によって評価額が算出され、この評価額に基づいて税額が決まります。改築工事によって固定資産税も変わることがあることを知っておくといいでしょう。
改築工事により、建物の評価額が上がった場合には固定資産税が上がることがあります。
工事完了後、自治体による調査によって評価額が算出され、この評価額に基づいて税額が決まります。改築工事によって固定資産税も変わることがあることを知っておくといいでしょう。
まとめ
住まいを快適に変えたいときに、改築、増築、改修とさまざまな方法があることを理解いただけたでしょうか。改築は、建て替えよりもコストがかからず、ピンポイントで改善したい場所を変えることができる反面、床面積や構造などは変えられないことなど注意点もあります。
ご自身が行いたいお住まいの改善には、何が向いているのかよく見極めてみてくださいね。
また、どの方法を選ぶ際にも、大切なのは信頼できる会社選びです。ぜひ、納得いくまで相談してみてくださいね。