教えてクマ博士!マンションリノベの「これできる?できない?」と物件チェックポイント
これまで何軒ものリノベを手がけ、研究してきたクマ博士。東京の片隅にある研究室には連日のように来客があり、リノベに関する「これってどうなの?」を愉快痛快にお話しているようです。 今日来ているのは、子供を授かったことをきっかけに物件購入やマンションリノベが気になりはじめた、タナカさんご夫婦(犬と猫を1匹ずつ飼っている)。 リノベで「できること」「できないこと」、物件購入前に「確認すべきこと」をポイントに質問しているみたい。早速のぞいてみましょう。
目次
さて、そんな想像が、リノベで「できる」のか「できない」のかをしっかり理解すると同時に、物件購入前のチェックポイントもおさらいしましょう!
リノベで「できること」の代表例
きっとおふたりも、リノベといえば広々とした部屋で内窓がついていたりする個性的な空間を想像しますよね。
私は寝室ぐらいは壁があってほしいけど…(笑)
それぞれの人がそれぞれのライフスタイルごとに、「生活の流れ」がある程度できています。その流れが描く線が「動線」。これがシンプルでスムーズだと、日々の暮らしが快適に送れる土台が整っているといえるのです。
起床〜朝食〜出勤〜帰宅〜夕食〜就寝の流れをイメージして、動線を整えながら間取りを決めていくのがとても合理的です。
間取りの変更で一番多い例は、1部屋〜2部屋の壁を抜いてLDKを広々とさせることなんですよ。
家というのは時代の流れに合わせてつくるもの。だからこそ、一世帯の人数が多かった時代には部屋数の多い物件に需要がありました。でも、今は家族の人数も減ったことや、家族の時間の過ごし方にも変化があります。「大きなリビングで子供との時間を共有したい」という意見も増えてきているのです。
これも、リノベで新しいものを入れたり、相談しながら造作したりすることができるんです。
最新の設備は機能性・デザイン性ともに優れた商品が沢山あります。
様々なメーカーのカタログやショールームを見ながら、自分にあった設備を見つけることもできる他、タイルを貼ったり棚をつくったり、リノベーションによって個性的なデザインを追求することも可能です。
キッチンなら、新しくシートを貼って全体の雰囲気に合わせたりすることも。
スペースを節約するために洗面所とトイレを一緒の空間に入れたりと、様々な工夫ができるのもリノベの魅力。
まだまだリノベでできることはありますよ。それは「内装」まわり。無限にある素材から選ぶことが可能なんです。
ビニール素材のフローリングなどから、天然の無垢フローリングの物にしたり、壁はクロスを貼るのではなく、塗装やモルタルにして素材感を楽しむこともできます。
お気に入りのアクセントクロスを貼ったり、天井や壁に木材を貼れば、自分たちらしい世界観を演出できます。
また、「エコフラット」や「漆喰」と呼ばれる消臭効果のある建材もあり、素材にこだわることで単なる空間演出だけでなく、生活を便利にする役割もあります。
マンションリノベで制限があるのはどんな点?
まずは、マンションには色々なルールがあるのを知っておいたほうがいいかもしれません。
リノベーションが可能なのは「専有部分」と呼ばれる部分のみということを知っておきましょう。
入居者全員で利用する「共有部分」と入居者個人で利用する「専有部分」に分けると、廊下や階段、エレベーターなどは「共有」になります。
一方、専有部分は個人で利用する部分なので、居室部分の内側となります。
ただし、ここで言う「居室部分」とはマンションを構成するコンクリート躯体の内側の範囲です。そのため、室内の間仕切り壁などは専有部分に入ります。
居室部分はコンクリート躯体の内側が範囲となるので、間仕切り壁はもとより、天井や床などまでの変更も可能です。
また、マンションの共有部分と専有部分の区分けは「区分所有法」という法律によって規定されています。マンションは大勢の人で建物を購入して使うため、権利関係の整理が法的にも必要となるんですよ。
まだまだ細かい部分をまとめて説明をしますよ!メモのご準備を。
以下の5点がほとんどのマンションで共有部分となっているところです。
①窓サッシ
窓サッシは外側が屋外に接していることから共有部分となる。ただし、窓の内側にもう一枚窓を設置して二重窓にすれば、専有部分の変更にとどめることが可能。
②玄関ドア
玄関ドアは外側が廊下に面しているので共有部分、内側が専有部分となる。そのため、ドアの交換は基本的には出来ないが、内側を装飾することは可能。
③ベランダ
ベランダは専有部分に思われがちだが、実は共有部分。特に火災などの際には避難経路になるので、改造や大きな物の設置は控える。
④専用庭
マンション1階の専用庭も共有部分。過度な装飾なども控える。
⑤コンクリート躯体
マンションはコンクリート躯体の内側に居室を作り込まれている。そして、コンクリート躯体は建物の強度に直接的に影響するので、勝手に削ったり穴を開けたりすることはできない。
物件を選ぶときのチェックポイントは?
・水まわり
・床材
・間取り
・内装
・電気設備
などが代表例です。
やはり、物件購入は大きな買い物です。確認は非常に大切!
マンションの規約や物理的な点は、物件探しの段階でリノベ専門ではない不動産であれば一声「リノベも検討中です」ということを伝えておくといいかもしれません。
「キッチンの位置を変更したい」というとき、水回り全体の位置と間取りを考えるのは、リノベでは肝になるポイント。
水回りの配管は、排水が詰まらないように角度をつける必要があります。
排水する距離が長ければ長いほど、角度が必要になるので、その分床を上げなければならないということがよくあります。「オープンキッチンにしたい」というときに、床を10cm上げる必要がでてくる場合もあるので注意。
また、管理規約上で配管の都合から、水まわり設備の変更に制限があるケースもあります。これは過去に漏水トラブルがあって規約に盛り込まれた、などの理由によるもの。
管理規約はもちろんですが、竣工図と呼ばれるマンション竣工時の設計図で、配管の位置を確認したり、今の部屋は床が何cm上がっているかなど確認することで、実際にどのような部屋にリノベーションすることが可能かを見定めていきましょう。
さて、水まわりに続いて確認したいのが、床材について。フローリングを変えると部屋の印象がグッと変わりますよね。
多くの場合は、「LL-45」などと表されるように“床衝撃音遮断性能”という基準が定められており、それを満たす施工内容であれば問題はありません。
ただ、基準を満たすために置き床と呼ばれる床の土台を新たに作らなければならない場合などは、床の高さが上がるのでこれにも注意が必要です。
まれ稀に管理規約で禁じているケースも見られます。カーペットが敷いてあるようなマンションは要注意。
健康上の問題がなければ、カーペット以外の施工は禁止となっているマンションもありますので、フローリングにしたい方などは事前にチェックしておきましょう。
次は、間取りについてです。難しい話が多くてそろそろ付いてくるのが大変になりましたか…?
あと2ポイントです!もうちょっとなんです!
話を戻しつつ、内装についても、まれにマンションの規約で制限がかかることがあることを知っておいてもらいましょう。
マンションの躯体部分やコンクリート外壁は共有部分になるので、アンカー施工ができないところもあります。そうすると、内装部分に設置できる部材にも制限が発生し、間取り変更に影響が出る場合があるのです。
「アンカー施工」とは、天井裏のコンクリート躯体に必要な部品が固定できずに、好みの天井部材を取り付けられないことがあるということです。
最後は、IHなどの電気設備を入れたい場合についてです!
中古マンションは、電気容量の制限値を確認しましょう。
だから、容量少なめの物件がいいかもな。
購入前の確認を妥協しないことが第一ではあるのですが、あくまでこれはリノベのとき。
物件を買う際の様々なチェックポイントも考慮して物件選びを進めましょう!
あ、すみません口がすべったようです。
確認する点がたくさんあるということは、もうここまででわかっていただけたはず。
何よりも時間をかけてほしいのは、「理想の暮らし」をイメージしたり語り合ったりすること。リノベでやりたいことを考えておけば、相談に行ったときも見るべきポイントが絞られて物件選びもスムーズになりますよ。
なんか、暗闇で光る塗料とか塗ろうよ。
イメージがついたら、それができるかできないかプロに確認してもらいつつ、実現可能だなとなったところで、やっと物件を購入いただくのが「中古物件+リノベーション」の気持ちよく進められる道筋ですよ!
おふたりのすてきな、暗闇でも光るお家ができるのを楽しみにしています!
最後にクマ博士からひとこと
実は、リノベーションに詳しい不動産会社さんはあまり多くありません。確認に不安がある場合には先にリノベーション会社とプラン考えながら不動産購入をするのがオススメですよ。実際にQumaでも不動産購入前の相談にのらせていただくことが多くあります。