フルリフォームはいくらかかる？費用を抑えつつ理想を叶えるコツ

まずは、フルリフォームでできることやリノベーションとの違いについてみてみましょう。

フルリフォームとは、基礎や構造部分は残しつつ住まいを全面的に改修する工事。全面リフォームと呼ばれることもあります。

通常のリフォームは、「リビングだけ」「水まわりだけ」など部分的に工事するケースが多いですが、フルリフォームはその名のとおり住まいをまるごと改修する工事をいいます。

一言でフルリフォームといっても、工事の範囲はさまざま。

●間取りはそのままに、住まい全体の壁紙や床の張り替え・水まわりなどの設備交換など、表面的な変更や修繕を行う
●柱や梁などの構造以外の天井・壁・床などをすべて解体したうえで、新たに間取りからつくり変える

天井や壁などをすべて解体する場合は、一見わからない内部の老朽化なども確認できるので、必要に応じて修繕できます。戸建てであれば、基礎や構造部分も補強することで耐震等級の引き上げも可能です。

住まいの改修を表す言葉として使われている「リフォーム」と「リノベーション」。
リフォームは、古くなったものを元の新しい状態に戻す、いわば『マイナスからゼロに戻す工事』を意味します。

一方リノベーションには、“手を加えてよりよくすること”という意味があります。元の状態に戻すリフォームとは違い、『マイナスからゼロを超えて、住まいにプラスアルファの価値をつける工事』がリノベーションです。

とはいえ、フルリフォームは構造以外を解体して理想の暮らしができるようにつくり変えるケースが多いので、リノベーションと同じ意味合いで使われることも多いようです。

フルリフォームは、表面的な工事なのか・構造以外を解体する大がかりな工事なのかによって、費用相場は大きく変わります。
また、築年数が古いほど修繕しなければいけない箇所も多くなるため、費用は高くなる傾向にあります。

一戸建てをフルリフォームする場合の費用相場は、1,200〜1,500万円。

一方マンションをフルリフォームする場合は、600〜1,000万円が相場といわれています。

次に、リフォームする場所別の費用相場をみてみましょう。

リフォーム箇所	費用相場
キッチン	40～100万円
お風呂	40～120万円
洗面	10～40万円
トイレ	10～30万円
床	15～60万円
天井・壁	20～40万円

キッチン
キッチンリフォームの費用相場は、40〜100万円。
グレードやサイズ、キッチンの位置を移動するかしないかで、費用は大きく変わります。

お風呂
お風呂のリフォームにかかる費用は、40〜120万円が相場。
ユニットバスなら100万円を超えるケースは少ないですが、ハーフユニットバスなどを造作する場合は費用が高くなりやすいです。

洗面
洗面のリフォームにかかる費用相場は、10〜40万円ほど。
メーカーの既製品は使わずに、オリジナルで造作したいと希望する人も多く、カウンターの素材や洗面ボウル・鏡・照明などのアイテムによっても金額は前後します。

トイレ
トイレのリフォーム費用は、10〜30万円が相場です。
タンクの有無やウォシュレット機能など、商品の種類によって費用が変わります。

床
床の内装工事にかかる費用相場は、15〜60万円ほど。
フローリング・フロアタイル・クッションフロア・モルタルなどさまざまな種類があり、デザインや機能性・金額が異なります。
床と壁の境目につける巾木の取り付け工事も、床の内装工事費に含まれます。

天井・壁
天井と壁の内装工事にかかる費用は、20〜40万円が相場。
クロス・塗装・左官・タイルなど仕上げ方はさまざま。クロスや塗装を選ぶ人が多いですが、クロスよりも塗装のほうが費用は高くなりやすいです。

住まいをフルリフォームする場合は、諸経費や設計費・現場管理費などの費用も発生します。

●諸経費：職人の交通費や駐車場代、工事に使う細かな材料（ビスやガラ袋・養生テープなど）にかかる費用。
●設計費：設計士が入った場合に発生する設計費用。部分的なリフォームの場合は設計費が必要ないケースも。
●現場管理費：職人が円滑に作業できるよう、現場を管理するための費用。スケジュール管理や指示出し・工事に関わる手続きなどの事務作業代、など。

これらの経費は、フルリフォームの合計金額の20〜30％ほどかかるといわれています。リフォーム費用が600万円なら120〜180万円、1,000万円なら200〜300万円かかる計算です。

予算の大まかな見通しを立てる際は、実際の工事費用＋その他経費を含めて考えましょう。

フルリフォームとなると「あっちもこっちも理想に近づけたい！」と要望がたくさん出てきて、費用もどんどん高くなってしまいがち。ここでは費用を抑えつつ、予算内で理想のリフォームを実現するためのコツをご紹介します。

費用を抑えるためには、リフォームで叶えたい理想の暮らしをイメージして、どの部分から叶えたいのか優先順位をつけるのがポイント。なぜリフォームしたいのかを具体的に考えておくことで、譲れない部分とコストダウンできる部分が見えてくるからです。

フルリフォームは構造以外をすべて解体してつくり変えることを前提にする人もいますが、使える部分はそのまま活かしつつ、譲れない部分から優先的にコストをかけることもできます。

まずは理想の暮らしを実現するための優先順位をしっかりつけて、リフォーム会社とプランの相談をしてみましょう。

リフォーム費用の中で大きな割合を占めるのが、キッチンやユニットバスなど設備本体の価格や、壁紙・床材などの素材そのものの価格。ハイグレードの設備・素材を選べば、その分費用は高くなります。
また、キッチンや洗面台・建具などを造作するのも、費用が高くなってしまう一因です。
譲れない部分にはこだわりのアイテムを厳選する、それ以外の箇所には既製品や安価な素材を選ぶなど、メリハリをつけて工夫をしてみましょう。

住まいをリフォームする際には、住宅ローンとリフォームローンを利用することもできます。

	住宅ローン	リフォームローン
借入限度額	～1億円	500～1,000万円程度
借入期間	最長35年	最長10～15年程度
金利相場	0.5～2.5％	2.5～4.5％
審査	厳しめ	住宅ローンほど厳しくない

住宅ローンは借入限度額が大きく借入期間も長いですが、申請手続きが複雑で審査も厳しいのが特徴。一方、リフォームローンは借入限度額が少ないものの、住宅ローンよりも申請手続きが簡単で審査基準も緩和されています。

ローンを利用する場合はしっかりと資金計画を立てたうえで、自分にあったものを選びましょう。

省エネ・耐震・バリアフリーといった目的のリフォームを行う場合は、国や自治体の補助金制度を活用できるケースがあります。
各種補助金は申請できる時期や条件がそれぞれ異なるので、フルリフォームを検討している段階から情報収集するのがおすすめです。

また、省エネや耐震などのリフォームを行った場合は、リフォーム促進税制などの減税制度が適用になる場合も。活用できる補助金や減税制度は上手に活用して、お得にフルリフォームを行いましょう。

住まいを全面的に改修するフルリフォームは、”あなたらしい暮らし”を叶えるための第一歩。しかし工事する範囲が広い分、やりたいことをあれもこれも詰め込みすぎると、予算オーバーしてしまうかもしれません。

予算内で満足度の高いリフォームをするためには、「なぜリフォームしたいのか」「どこを優先したいのか」を具体的に考えることが大切です。

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